ペネトレーションプライス(Penetration price)とは、新製品の導入期における価格戦略の一つで、市場への早期普及(浸透)を図り成長カーブに乗せることを目的として、価格改定をコスト以下あるいはほぼ同等に抑えることで、競合他社の追随を断念させる価格設定のことです。英語でペネトレーションとは浸透するという意味から別名、市場浸透価格設定とも呼ばれており、ペネトレーションプライス(Penetration price)を取る価格戦略をペネトレーションプライシングと言います。この手法は販売量が上がるにつれて単価コストが下がるという仮定に基づき、従業員が経験を積むことにより生産過程はより効果的になり、かつ原材料や部品の大量購入が行われるようになることから変動費が低減します(経験効果)。また、大量生産が可能になることで固定費が分散されることから単位当たりの固定費も低減していきます(規模の経済)。かつて日本のメーカーが海外進出した際、原価低減を見越したペネトレーションプライシングが採用されていました。この戦略の成功のポイントは将来の需要を正確に見積もることと、競合他社が追随する機会をシャットアウトすることにあります。ペネトレーションプライシングの特徴として、まず前提条件に①広い潜在市場があること ②価格変動による需要への影響が大きいこと ③経験効果により投資の回収ができることがあり、そのうえで早期に高い市場シェアを獲得出来たり、競合他社の参入意欲を低減できたり、ブランドを広く消費者に認知させることが期待されます。ただ、期待通りに原価が下がるとは限らなかったり、設備投資や資金繰りに苦労するなど多少のリスクが伴うこともあるので注意が必要です。

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